奥が深い、わさびの歴史。ふじのくに自然環境史ミュージアムの「水わさびの伝統栽培展」
こんにちは!
梅ヶ島温泉 湯の華 若女将のさゆりです。
静岡といえば、わさびが有名です。
いや、長野の安曇野も有名なんですが、実は静岡がワサビ栽培の本場。
わさび王国 静岡県
画像引用:わさび産出額、水わさび栽培面積・根茎生産量日本一|静岡県
静岡県はわさびの産出額・栽培面積ともにシェア第1位!
グラフを見ていただくと分かるのですが、静岡県と第2位の長野県で2県で全体の9割を占めています。
「わさび」って、日本を代表する食材だと思うのですが、その産地がこれほど限定的だというのには驚きました。
そんな、わさび(水わさび)について、
静岡市駿河区にある、ふじのくに自然環境史ミュージアムで特別展示をされていたのでご紹介いたします。
ふじのくに自然環境史ミュージアムの「静岡 水わさびの伝統栽培展」
ふじのくに自然環境史ミュージアム常設コーナーの一部で展示されていた「静岡 水わさびの伝統栽培展」
2月27日までの期間限定の展示です。
静岡わさび農業遺産推進協議会のポスターがお出迎え。
結論から言ってしまうと、展示内容はこちらの静岡わさび農業遺産推進協議会のウェブサイトの内容がほとんどでしたので、興味がある方は下記のリンクをご参照ください。
ポスター展示されていたものの中から、私が気になった項目をピックアップしてご紹介します。
世界農業遺産・日本農業遺産ってなに?
「世界農業遺産・日本農業遺産」に認定された、と説明にありますが、そもそも世界農業遺産って何でしょうか?
世界農業遺産(GIAHS)とは、社会や環境に適応しながら何世代にもわたり継承されてきた独自性のある伝統的な農林水産業と、それに密接に関わって育まれた文化、ランドスケープ及びシースケープ、農業生物多様性などが相互に関連して一体となった、世界的に重要な伝統的農林水産業を営む地域(農林水産業システム)であり、国際連合食糧農業機関(FAO)により認定されます。
厳正な保護が目的の世界遺産と異なり、世界農業遺産は環境保全とともに持続的に活用することが目的です。
世界遺産は現状を変えませんが、世界農業遺産は地域環境に適応し、新たな技術を取り入れることが可能です。
近代的な部分を取り入れ進化を続けながら、伝統的技術を残していけるのです。
参照:世界農業遺産とは?|ジブン農業
令和4年1月現在、世界で22ヶ国62地域、日本では11地域あります。
静岡県内ではわさびの栽培と、掛川市の【茶草場農法】が認定されています。
全国的には新潟県【トキと共生する佐渡の里山】や熊本県【阿蘇の草原の維持と持続的農業】など。
その地に受け継がれる伝統的な農法と、自然資源の活用や周辺の動植物との共生が評価のポイントです。
静岡におけるわさび栽培の系譜
▲「静岡 水わさびの伝統栽培展」より
わさび栽培発祥の地 有東木
もともと日本の山に自生していたワサビの原種。
野生のワサビは静岡市葵区有東木にも生えていました。
その野生ワサビを有東木の沢に植えたことが、世界で初めてのわさび栽培とされています。
徳川家康が好んだ「有東木のワサビ」
江戸時代、駿府城で隠居生活を送っていた徳川家康。
有東木で栽培された献上ワサビを食べ、その美味しさに魅了され、門外不出の御法度品となったそうです。
ちなみに、ワサビは漢字で「山葵」と書きます。
ワサビの葉っぱは徳川家の家紋「葵紋」にも似ていますね。
ご法度品をこそっと伊豆に持出し栽培。ワサビが庶民にも人気となる。
徳川家康によって門外不出とされていた有東木のワサビ。
いろいろあって(※年代や経緯などが文献により諸説あり)、伊豆での本格的な栽培が行われるようになりました。
生産量が増したことで、庶民にも手に入りやすくなり、
江戸っ子たちの握り寿司や蕎麦人気も加わって、江戸前に欠かせない食材となりました。
有東木で発祥したわさび栽培が、伊豆で栽培方法が確立されて有東木に逆輸入されたわけですね。
ここ梅ヶ島はわさび栽培発祥の地、有東木の上流部。
もちろん、梅ヶ島でもわさび栽培が盛んです。
当館では朝食に梅ヶ島のわさびを使用した「さびめし」をお出ししています。
自分でおろした、擦りたてわさびをご飯にのせて、本場のわさびをご賞味ください。
わさびを食べながら、その歴史や自然環境にも思いを馳せてみるのはいかがでしょうか。
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梅ヶ島温泉 湯の華
TEL:054-269-2253
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